機密性の高い家でオゾンを出し続けるとオゾン濃度が高くなる可能性があることの理由


kakaku.comの『プラズマクラスターやナノイー自体にはほとんど殺菌効果がない』 のクチコミ掲示板で、イオン系空気清浄機について貴重な議論がなされているのを最近発見しました。
ここで、 Yahoo!知恵袋などでメーカー擁護の立場から活発に活動されているssfs2007さんから、このブログのイオン商法にご注意を―「イオン系」電気製品とその宣伝方法の投稿の記載について、

「乳児がいる機密性の高い家で、オゾンを出し続けると、どんどんオゾン濃度が高くなる可能性があります」とありますが、嘘八百です。このように妥当性を欠く主張は無意味です。

との貴重なご意見をもらいました。
確か以前にもここの箇所についてssfs2007さんからご意見をもらっていたと思います。
(ssfs2007さん自身もこのことが事実であれば問題であると考えているのかもしれません)
上記の私の見解は、オゾンについて詳しい人や一般に化学物質について詳しい人は、「当然のこと」として支持してくれる内容かと思いますが、下記に説明したいと思います。

(参考図:オゾンを主体とする酸化物質により発生する光化学スモッグ - 三重県環境政策資料)

●労働安全衛生関連の法規で(職業的にやむを得ない場合であっても)人が働く環境ではオゾンを0.1ppm以下に抑えるように規制されています。

●環境関連の法規(公害対策基本法および大気汚染防止法)でも大気中の光化学オキシダント(オキシダントとは酸化力のある物質のことで、オゾンなどの酸化力のある物質の総称)を0.06ppmに抑えるように規定されています。

●光化学スモッグという現象はオゾンなどのオキシダントが一定以上増えたために、オキシダントが減らなくなったり増え続けて、人の健康に害を与えるおそれがある現象です。

(参考図:栃木県環境政策課資料;オゾンなどによる光化学スモッグとその作用)

●オゾン臭が複数の人に認められる時点で0.02~0.04ppm程度あります。

●オゾン臭が発生しているイオン系製品は多いです。

●メーカーも製品の吹き出し口から0.04ppmのオゾンが出ることがあることは認めています(私が電話で聞き取り)。

この数値は、公害対策基本法および大気汚染防止法の規制値の0.06ppmより少し少ない程度です。

しかもイオン系製品は、やむを得ずではなく(例えば、電車のモーターやコピー機やレーザープリンターから出るオゾンは「やむを得ず」です)積極的に発生させています。

●オゾン濃度センサーを搭載している一般的な製品はありません(手軽なオゾン濃度センサーは実用化されていません)。

したがって、オゾン濃度を検知してオゾン濃度が高くなったらオゾン発生機能を停止する機能を持ったイオン系製品はありません。

●空気中に(酸化性の)オゾンが少ない状況だと、イオン系製品からオゾンが出ても、オゾンは(還元性の)他の物質を酸化した上で、結局O2(酸素)や酸化物の一部に変化して、オゾンが低濃度に抑えられます。これに対し、空気中にオゾンや他の酸化性の物質(オキシダント)が多い状況だと、還元性の他の物質が少ない状況となり、O3(オゾン)の攻撃対象が少なくなってしまいます。その結果、オゾンが分解することは少なくなり、増えやすくなります。


(参考図:一酸化炭素の濃度上昇 - 不動産会社資料)

この現象は、一酸化炭素(CO)の濃度のふるまいに似ています(酸化と還元は逆)。還元性のCO(一酸化炭素)は通常の大気中では酸化性のオゾンや酸素などと反応してCO2となる「すぐさま消えていく化学種」ですが、CO(一酸化炭素)が増えて酸化性の物質(例、オゾン、酸素)が少なくなってくると、CO(一酸化炭素)が還元させる物質が少なくなり、一気に致死量の1500ppmまで上がります。

●オゾンの単位体積当たりの重さ(密度)は、窒素や酸素の密度の1.5倍です。よって、オゾンは床近くに滞留するのです。

(参考図:乳児のハイハイ - 東京都こども医療ガイドより)

床近くでハイハイをしたり寝る乳児の生活空間の濃度は、大人の人の濃度の1.5倍 …ではありません。

重さが1.5倍なので、濃度はもっともっと高くなるといえます。しかも、オゾンのおかげで、オキシダントであるNO(空気と同程度の重さ)やNO2(空気の1.5倍の重さ)も存在する状況になります。

●機密性の高い家で、オゾンを出し続けても、オゾン濃度が高くならないのであれば、いったいどんな状況であれば、労働安全衛生関連や環境関連の法規に記載されているオゾン濃度0.1ppmや0.06ppmになるのか、いったいどんな状況であれば、光化学スモックで大気中のオゾン濃度が高くなる状況になるのか、逆に聞きたい…です。

以上より、「乳児がいる機密性の高い家で、オゾンを出し続けると、どんどんオゾン濃度が高くなる可能性があります」ということが至極当たり前のことであることをわかっていただけると思います。
イオン系製品のメーカーには、消費者に誤解を与えるような広告宣伝はやめ、適切な表示・説明を行った上で製品を販売するなり、返品に応じたり、自主回収することを強く望みます。関係当局も行政処分や行政指導することを強く望みます。
私の友人は、かつて公害都市であった神奈川県川崎市で育ち、肺が十分に成長せず普通の人の1/3の大きさの肺で19歳で死にました(川崎市からは公害認定を受けていました)。消費者に誤解を与える広告宣伝によって自分の家に公害を作りだし、その結果、健康を害する人が出るという事態にならないことを切に願います。


(参考:このような措置命令をお願いします)


学識経験者の中村匡伸 元教授は、最近の消費者庁の措置命令国立病院機構の西村論文について論評しながら、

シャープは本件の後始末とともに、まだ、やるべきことが残っている。それは当該製品の潜在する健康被害を明らかにすることである。似非科学で売り上げた当該商品は、いまだに数千万台が稼働しており、使用状況による健康被害を明らかにし、注意を促すべきである。・・・シャープが喧伝したプラズマクラスターの作用機序は、マイナスイオンに端を発した妄想、作り話によるミスリードである。このような似非科学と呼ばれる商品が出るのは、嘆かわしく、自らを省みないのは言語道断である。プラズマクラスターに与えられた何々賞も、選考委員の眼力がその程度であったと評されても致し方あるまい。まともな検証もされないまま、この会社の妄言を鵜呑みにし、なんとなく流布し、あきれるほどの他製品への付加状況は、右に倣えの感さえあった。愚かな行為が繰り返されないことを望む。開発とは何か、科学者、工学者の良心とは何かを今一度、思い返して欲しい。(プラズマクラスターの終焉より)
と書かれています。まったく同感です。同氏のシャープ/プラズマクラスターの作用機序では、
シャープの提唱してきたプラズマクラスターの作用機序に科学的根拠は認められない.
として、その根拠について説明されています。さらに、
いつまでこのようなことが続くのだろうか.もううんざりである.当装置に関わりのある人もそうでない人も,はやく眼を覚ますべきである.・・・消費者庁,及び・・・厚生労働省は,襟を正してことに当たって欲しい.
とも、要望しておられます。このような良識ある人が日本で増えてほしいものです。そして、少しでもイオン系商法のインチキさがわかる人は情報発信をしてほしいです。特に、中村氏のような学識経験者に。 最後に、イオン系商法は、シャープのプラズマクラスターだけでなく、パナソニックのナノイー、ダイキンの光速ストリーマ、サムスンのS-Plasma ionなども同様であることを記しておきます。

(参考:某社がうたっている美肌効果)

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コメント

Secret

パナのイオンドライヤーは髪の艶の違いを実感する方が多いようですが?

イオン系ドライヤー

コメントありがとうございます。
髪には作用しますよ。
低濃度の塩素ガスを吹き付けているのと同じような効果があります。
つやが出たりクシの通りが良くなって「良い製品だ」と思う人も多いと思います。
しかし、肌や人体の粘膜、肺には悪いです。
それなのに、「美肌に効果的」というように宣伝しているのはおかしいですよね。
もっともドライヤーなので使用時間は長くなく、空気清浄機やエアコンなどと比べるとあまり深刻ではないと思いますが。
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